いま、世界中で爆発的な人気を誇るキャラクター ラブブ(Labubu)。
SNSでは「かわいいけど不気味」「キモかわいい」と話題になり、フィギュアやぬいぐるみは発売と同時に完売するほどの熱狂を生んでいます。
しかし、その誕生の裏には、香港のアーティストKasing Lung(カシン・ルン)の独特な世界観と、中国発のデザイナーズトイ企業 POPMART(ポップマート) の戦略的なビジネス展開がありました。
本記事では、ラブブの始まりから現在のビジネス規模までを徹底解説します。


本記事のテーマ
ラブブ(Labubu)とは?誕生の歴史とデザイナーKasing Lung、POPMARTによる世界的ヒット戦略
1.ラブブとは?なぜ人気なのか
2.Labubu(ラブブ)誕生の歴史
3.POPMARTとの出会いとライセンス契約
4.IPビジネスとしての拡大戦略
5.現在の規模と影響力
6.まとめ
1.ラブブとは?なぜ人気なのか

ラブブ(Labubu)は、尖った耳・大きな目・ギザギザの歯が特徴のキャラクターです。
一見するとちょっと不気味ですが、表情や仕草には愛嬌があり、その「かわいいと怖いの間」を行き来する独特な魅力が世界中のファンを虜にしています。
特にSNS時代との相性が抜群でした。
- コレクターが自分のフィギュアを並べて投稿
- セレブやインフルエンサーがラブブを愛用
- 「推しキャラ」を見つける楽しさ

このようにして、ラブブは “コレクションする喜び” と “シェアしたくなる魅力” を両立し、人気が爆発したのです。
2.Labubu(ラブブ)誕生の歴史
デザイナーKasing Lung(カシン・ルン)のプロフィール
カシン・ルンは香港出身のイラストレーター・アーティストで、もともとは絵本作家として活動していました。

→kasinglung公式インスタグラム
彼の作品には、どこかダークで幻想的な雰囲気が漂い、かわいらしさと不気味さをあわせ持つ独自のキャラクターが登場します。
初期の絵本作品とイラスト
ラブブ誕生前の初期作品として有名なのが、絵本『My Little Planet』や『Lizzy Wil Danssen』などです。どれも子ども向けながら、大人が読んでも惹き込まれる不思議なストーリーとビジュアルが特徴。
これらの作品の中で培われた「モンスターたちの世界観」が、のちのラブブにつながっていきます。


「The Monsters」としてのラブブ誕生(2015年)
2015年、カシン・ルンは 「The Monsters」シリーズ を発表。その中心キャラクターとして生まれたのがラブブです。
当初はアートトイや個展で発表され、限定的なコレクター層に支持されていました。
希少性の高さと独特なデザインから、アートトイファンの間で「幻のキャラクター」として注目を集めていきます。

Kasing Lung(カシン・ルン)作家概要
- 出身:1972年、香港生まれ。
- 活動拠点:近年は香港とベルギーを拠点に活動中。
キャリアの始まり
- 2011年:香港のHow2Work社とコラボレーションを開始。絵本とコレクタブル・フィギュアのシリーズを手がけ、アートトイ領域で注目される。
- 2013年:台湾で初の中国語絵本『My Little Planet』を出版。
- 2014年:児童文学作家ブリジット・ミンネと共作した絵本『Lizzy Wil Danssen(リジーはダンスがしたい)』を、ベルギーの出版社 De Eenhoorn より刊行。ヨーロッパとアジアで翻訳出版され、評価を得る。
ラブブ誕生のきっかけ
- 2015年:「北欧神話に強い影響を受けた物語シリーズ『The Monsters』を制作。
- このシリーズに登場するラブブ(Labubu)は、ウサギの耳が特徴の人気キャラクターとなり、300を超えるバリエーション(色・形・サイズ)の商品として展開されるほどのヒットに。
展覧会/活動
2020年:東京・Hidari Zingaro で初の個展「THIS IS WHAT IT FEELS LIKE」を開催。ペインティング作品を中心に制作。


その後の主な個展:
・2022年:東京・Kaikai Kiki Gallery にて「-+」展を開催。

・2023年:同じく Tokyo Hidari Zingaro にて「CLOUD」展。

過去の展示活動:
・2018〜2019年:台北や香港で「The Monsters Store」などのポップアップや個展を開催。
・2012〜2017年:台湾や香港で多数の個展。
グループ展にも多数参加し、上海、東京、ソウル、パリなど世界的に展示多数あり。
3.POPMARTとの出会いとライセンス契約
ラブブの人気が世界規模に広がる転機となったのが、中国のPOPMARTとの契約です。
POPMARTとは?

POPMART(ポップマート)会社概要
基本情報
- 正式名称:Pop Mart International Group Limited(中国語名:北京泡泡玛特文化创意有限公司)
- 設立:2010年、王寧(Wang Ning)氏により北京で創業
- 上場:2020年に香港証券取引所に上場。初日に時価総額は約70億ドルに
- 本社:中国・北京
- 業種:キャラクター玩具(デザイナーズトイ)製造・販売、IP運営、テーマパーク展開などを含むエンタメ企業
事業内容
- 主力商品:ブラインドボックス形式のコレクタブル玩具(例:Labubu / The Monsters, Molly, Skullpanda など)
- 販売チャネル:直営店舗、ロボショップ(自販機)、公式ECサイト(Tmall、Pop Mart Global 他)、オンラインプラットフォーム
- 国際展開:2022年以降、米国、欧州、東南アジアなどへ積極的に店舗展開
- NFT・Web3展開:人気キャラクターのNFTを発行するなど、デジタル領域への進出も開始
Kasing Lung(カシン・ルン)とのコラボ
- 2018年:カシン・ルンとPOPMARTが合意し、コラボレーションが始動。
- 2019年:POPMARTが「The Monsters(ラブブを含む)」と 独占ライセンス契約 を締結。
- 初回のブラインドボックスシリーズが発売されると、記録的な売上を達成し、POPMART内のカテゴリ記録を更新しました。
POPMARTは「ブラインドボックス」形式を採用。中身がランダムでわからないため、ファンはコレクション欲を刺激され、リピート購入が増加。
さらに「シークレットキャラ」の存在が市場を盛り上げました。
4.IPビジネスとしての拡大戦略
イベントによるコミュニティ形成
POPMARTは2017年に「Beijing Toy Show」、2018年に「Shanghai Toy Show」を主催。
こうした場でラブブを展示・限定販売し、ファンとの直接的な接点を作り出しました。これが熱狂的なコミュニティを育て、口コミで人気が拡散していきました。
商品ライン拡張
当初はミニフィギュアが中心でしたが、人気が出ると同時に ぬいぐるみ、アパレル、アクセサリー にまで商品展開を拡大。
幅広いファン層にアプローチし、キャラクタービジネスとしての成長を遂げます。
マルチチャネル戦略
POPMARTは直営店、自販機「Robo Shop」、ECサイトを組み合わせたマルチチャネルで販売。
これにより、限定感を演出しながらも供給量を拡大し、グローバル展開をスピーディーに実現しました。
→POPMART Labubuについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
5.現在の規模と影響力
世界のトイマーケットで急成長している中国発の玩具メーカー ポップマート(Pop Mart)。その躍進をけん引しているのが、うさぎ風キャラクター 「ラブブ(Labubu)」 です。
2025年上半期だけで売上高は 139億元(約2,860億円)、純利益は前年比 397%増の46億元(約945億円) という驚異的な数字を叩き出しました。
これはPOPMART全体の収益の柱であり、同社を世界有数のデザイナーズトイ企業に押し上げた立役者となっています。
また、BLACKPINKのリサをはじめ、世界のセレブやインフルエンサーがラブブをコレクションしていることも、グローバル人気を後押し。中国、韓国、日本、ヨーロッパ、北米にまでファン層が広がっています。

POPMART 2025年上半期の業績
- 売上高:139億元(約2,860億円)
前年同期比 +204.4% - 純利益:46億元(約945億円)
前年同期比 +397% - 通年売上予測:300億元(約6,160億円)到達見込み
株価も急伸し、年初来上昇率は 227%。創業者兼CEOの 王寧(ワン・ニン)氏 は保有資産が 249億ドル(約3兆6,700億円) に膨らみ、中国富豪ランキングで 9位 にランクインしています。
海外展開と今後の成長戦略
ポップマートは中国国内だけでなく、積極的に海外市場を開拓しています。
- 中国市場売上:全体の60%
- 米国を含むアメリカ大陸:前年比 +1000%以上(23億元=約472億円)
- 2025年中に中東・中欧で新規出店、海外店舗数を 140→200店舗へ拡大予定
CEOは「今年は海外市場の売上が中国を上回る可能性が高い」とコメントしており、今後は ディズニーやハズブロに迫るグローバルIP企業 へと進化していく可能性があります。
6.まとめ
ラブブの歴史を振り返ると、以下の流れが見えてきます。
- 2015年:カシン・ルンの「The Monsters」からラブブ誕生
- 2018〜2019年:POPMARTとのライセンス契約 → 初回ブラインドボックスが大ヒット
- 2020年代:SNS・セレブ効果で世界規模のコレクション現象に
- 2025年現在:売上1,000億円規模、世界的IPへと成長
ラブブは、単なるキャラクターではなく、アートとビジネスの融合から生まれた成功事例 です。
アートトイから始まり、IPビジネスへと進化し、今やグローバルカルチャーの一部となったラブブの歩みは、今後も世界のキャラクタービジネスに大きな影響を与え続けるでしょう。
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